2013/09/14

通常版 Fusion 6 と Fusion Professional 6 の違いをみる

VMware Fusion 6 の通常版と Fusion Professional 6 の違いは VMware 社のページに記載されているが、これだけだと分かりにくいこともあるだろうから、評価ライセンスを使って2つの主だった違いを確認してみた


● ネットワーク エディタ

Professional には、通常版の環境設定では存在しない「ネットワーク」の項目が存在する。これがネットワークエディタと呼ばれる部分だ。

通常版 Fusion 6 の設定パネル
Fusion Professioanl 6 の設定パネル
ネットワークエディタを選択するとネットワークの接続先に選択可能な一覧が表示される。この一番下「カスタム」のところにネットワークの追加が可能になっている。

ネットワークの設定(ネットワークエディタ) 
VMware Workstation のネットワークエディタと同じく、NATをかけて外部ネットワークへの接続を行うか、ネットワーク内で DHCPによるIPアドレスの配布を行うかが、配布するIPアドレスのレンジが指定可能となっている。


● 暗号化

通常版も Professional も仮想マシンの暗号化機能を持っている。有効にすると設定されたパスワードを知らないとその仮想マシンが起動できなくなる。
なお、パスワードは Keychain に登録可能で、二回目以降の入力を省くことができる。


暗号化された仮想マシンの設定変更にはパスワードの入力が必要 

Professional では、暗号化された仮想マシンに対して、さらなる操作の制限を加えることができる。
通常版 Fusion 6 での暗号化と制限
暗号化を行う以外の機能はない

Fusion Professional 6 での暗号化と制限
暗号化を有効にすると、制限機能が表示される

・制限
「制限」を有効にすると、仮想マシンの構成の編集ができなくなる。
これはメニューから設定項目が消えることで実現されている。
なお、制限された仮想マシンは暗号化されているため、.vmx ファイルを編集して直接設定を書き換えることもできない。
なお、Fusion 6 からは「分離」メニューによりホストOSとゲストOS間の ドラッグ&ドロップやコピー&ペーストの利用可否を設定することができる。

「分離」メニュー

あらかじめドラッグ&ドロップやコピー&ペーストを無効化しておけば、制限との合わせ技でホストとゲストのやりとりを禁じて安全性を高めることができる訳だ。

・パスワードの変更
「制限」を有効にした場合の仮想マシンの設定パネル
設定項目が極めて少なくなってるのが分かる

「暗号化パスワードを変更することをユーザに求める」を指定すると、仮想マシンの初回起動時にユーザにパスワードの変更を指示する。暗号化した仮想マシンを配布した場合、配布先の利用者ごとにパスワードを変えてもらうことができる訳だ。

・USBデバイス制限

「USBデバイスをこの仮想マシンに接続することを許可する」をチェックすると、ホストのMacに接続したUSBデバイスを、仮想マシンに接続させることができる。逆に言えば、このチェックをつけない限り、USBデバイスのリダイレクションは無効になる。

Fusion のレベルでは全部通すか全部禁止するかしかないが、ゲストOSが Windows ならば、グループポリシーを使ってUSBデバイスを制限することができるのでこれも併用するといい。

・利用期限
「仮想マシンの期限切れ後」にチェックを入れ、右側の日時を入れるとその期限までしか利用できない仮想マシンを作ることができる。
また、「詳細...」ボタンを押すと以下のシートが現れ、期限切れ直前や期限切れ後のメッセージを用意したり、時間確認のサーバを用意できる。

Fusion Professional 6 では仮想マシンの利用期限を設定することもできる
利用期限のついた仮想マシンを実行する場合、ホストOSのユーザが時間を変えてしまう事は想定される事態だろう。そこで、ローカルの時間を信用せず、指定のウェブサーバに定期的に接続し、現在時間を確認することで期限の確認を行うわけだ。

なお、上記の各種制限のかかった仮想マシンを、通常版の Fusion6 で利用、「暗号化と制限」設定パネルを開くと、以下に見える。

Fusion Professioanl 6 で制限や有効期限を設定した仮想マシンは、
通常版の Fusion6 や Player, Workstation でも制限されたままになる
通常版の Fusion 6 や Player では制限を解除できない

単に暗号化だけなら通常版でも解除できるが、その他の制限がかかった場合、通常版の Fusion では制限も暗号化も解除できなくなる。

企業などで業務データやアプリケーションの入った仮想マシンを配信する場合、暗号化と適宜制限を加えることで、改竄を防止したり利用期限を制限することができるわけだ。ここらへんは、VMware ACEで培った技術が組み込まれている。
Windows を展開する場合はさらに Horizon Mirage でゲストOSの Windowsの管理を行えば利便性と制限を向上させることができる。


● フルクローンとリンククローン

Professional では、フルクローンとリンククローンのメニューが追加されており、仮想マシンのコピーを作成することができる。

通常版 Fusion 6 の仮想マシンメニュー
Fusion Professional 6  の仮想マシンメニュー
クローン項目が増えているのが分かる

フルクローンは完全なコピーで、まったく同じ内容の独立した仮想マシンを作成する。

これに対してリンククローンは、元となる仮想マシンからの差分だけを保有している。
元の仮想マシンがなくなると起動できなくなるが、差分だけのためフルクローンに比べ容量をとらない。

テストや開発時に、一時的に同じゲストOSの複数の仮想マシンが必要な場合、リンククローンは便利であろう。